SESと派遣の違いとは?契約形態・働き方・向き不向きを解説!

SESと派遣の違いとは?契約形態・働き方・向き不向きを解説!

SESと派遣の違い。ってなんでしょうか?

どちらも「他社の現場で働く」という点では似ているように見えます。が、じつは、その本質はまったく異なります。契約形態、指揮命令の関係、報酬の仕組み…違いを理解せずに働き始めると、「思っていたのと違う」と後悔するケースも少なくありません。

そこで今回の記事では

この記事でわかること

  • SESと派遣の違い
  • 法律的な見方
  • 働き方の違い
  • 収入の違い
  • キャリアパスの面

について、解説します。

これからIT業界で働こうと考えている方や、キャリアに迷っている方にとって、判断の材料になる内容です。

目次

1. SESと派遣の違いを一言で説明すると?

SESと派遣は、どちらも企業に所属しながら別の会社の現場で働くというスタイルです。

が、その中身はまるで別物です。契約形態、働き方、給与の仕組み、指示系統など、すべての土台が異なります。

この章では、SESと派遣の違いを、法律・実務・お金の観点から深掘りしていきます。最初に結論を押さえて、続いてそれぞれの違いを具体的に見ていきましょう。

SESと派遣の違い|結論:契約形態と働き方がまったく異なる

SESと派遣の違い|SES=業務委託

SES=業務委託

派遣=労働者派遣

派遣=労働者派遣

まず、結論からお伝えします。

SESは「業務委託」、派遣は「労働者派遣」という契約に基づく働き方です。

この違いは、誰の指示で動くか、どこまで自分の裁量があるか、報酬の仕組みに大きな影響を与えます。

例えばSESでは、クライアント企業からの直接的な指示はNGです。受託した業務に基づき、所属企業の判断のもとで動きます。対して派遣では、勤務先の企業(派遣先)から直接指示を受けて働きます。

この違いが「自由度」と「責任の重さ」にもつながります。SESは自由な分、業務遂行の責任が重い。派遣は指示に従えばよい分、安定的でルールがはっきりしています。

参考記事❶:業務委託とは?
参考記事❷:労働者派遣法とは?

SESと派遣の違い①:契約の種類と法律上の位置づけ

契約の種類と法律上の位置づけ

SESの契約は「準委任契約」または「請負契約」として締結されます。

これは、成果物の納品や業務遂行の“責任”を請け負う契約です。つまりSESのエンジニアは、所属企業(SES会社)とクライアントの間で交わされた業務委託契約に基づいて動いているのです。

一方、派遣は「労働者派遣契約」に基づき、派遣会社と派遣先企業の間に契約が存在します。法律的には「労働者派遣法」の対象であり、勤務日数や就業期間などにも制限があります。たとえば、同一の部署での派遣期間は最長3年と定められています。

このように、SESは民法ベース、派遣は労働法ベースで成り立っているため、法的な責任や労働条件もまったく異なるのです。

SESと派遣の違い②:誰の指揮命令で動くのか

誰の指揮命令で動くのか

さらに、SESと派遣の大きな違いの一つが「指揮命令権」です。

SESでは、クライアントがエンジニアに直接指示を出すのはNG。なぜなら「偽装請負」にあたる可能性があるからです。そのため、SESエンジニアは、あくまで自社(SES会社)の指揮命令に従って働きます。

一方、派遣社員は派遣先企業から直接業務の指示を受けて働きます。指揮命令権があるのは派遣先です。これは非常に明確な違いで、どこに所属していても、実質的な上司は派遣先の人になるのです。

以下の表にまとめるとわかりやすいです。

比較項目SES派遣
指揮命令権SES会社派遣先企業
指示を出す相手原則としてクライアントからはNG派遣先の担当者
トラブル時の対応SES会社が対応派遣会社と派遣先が連携

この違いを理解していないと、現場で「なんであの人から直接言われるの?」というモヤモヤが生じることもあります。

SESと派遣の違い③:雇用関係の有無と給料の仕組み

雇用関係の有無と給料の仕組み

SESと派遣は、給与の仕組みや雇用の安定性にも明確な違いがあります。

まずSESでは、エンジニアはSES会社に雇用されています。そして報酬は、契約された工数(時間単価×時間)に基づいて支払われます。ただし、契約内容によっては待機時間(案件がないとき)に給与が出ないケースもあり、不安定な面もあります。

一方、派遣では、派遣会社が給与を支払い、時給制が基本です。契約終了後も別の派遣先を紹介してもらえるケースが多く、収入が安定しやすいです。

下記にその違いを整理します。

項目SES派遣
雇用関係SES会社と直接雇用派遣会社と直接雇用
給与体系工数単価に基づく(変動しやすい)時給制(比較的安定)
案件がない時給与が出ない可能性あり就業できない場合も最低賃金の保証あり

SESは報酬が高くなる可能性もあります。が、案件によっては不安定です。

一方で、派遣は安定性が魅力ですが、大幅な収入アップは難しいことも多いです。

2. なぜSESと派遣の違いが重要なのか?

SESと派遣は見た目の働き方が似ているため、混同されやすいのです。

が、実はこの違いを正しく理解していないと、思わぬトラブルや後悔に直結します。「ただ現場で働くだけ」と思って軽く見ていると、法的なリスクやキャリアへの影響に直面しかねません。

この章では、特に重要な3つの観点から、なぜ違いを正しく理解することが大切なのかを深掘りします。

①誤解すると「偽装請負」など法的リスクにつながる

SESと派遣の違いで、最も気にする一つが「偽装請負」です。

これは、本来SESとして契約しているのに、現場でクライアントから直接指示を受けるなど、実質的に派遣と同じ働き方になってしまう状態です。

これは労働法違反にあたり、企業側だけでなく、働いているエンジニア自身もトラブルに巻き込まれる可能性があります。具体的には、労基署の是正勧告や契約の打ち切り、過去の業務に対する賃金請求問題などが発生するケースもあります。

「現場では派遣っぽい働き方をしてるけど、実際はSESです」といった曖昧な状態は、意外と多く見受けられます。その結果、正当な労働環境が守られないまま、本人も無自覚に法的グレーゾーンで働いてしまうリスクがあります。

正しい知識を持っていないと、自分が置かれている立場が適法なのかさえ判断できません。だからこそ、この違いを知ることは「自分を守る」第一歩なのです。

②働き方の自由度や安定性に大きな差がある

SESと派遣は、働き方の自由度や安定性においても対照的です。

SESは、基本的に成果よりプロセス重視の業務委託なので、ある程度自分の裁量で仕事を進められます。働く時間帯や場所も柔軟な場合があります。そのため、自由度を重視する人には魅力的です。

一方、派遣は指示通りに動くスタイルで、勤務時間や業務内容が明確に決まっています。与えられたタスクを忠実にこなすことが求められますが、その分、業務の範囲が明確で働きやすいという面もあります。

ただし、自由な働き方=安定とは限りません。SESは案件ごとに契約が変わるため、プロジェクト終了後に空白期間ができることも。対して派遣は、派遣元企業が新しい案件を紹介する責任を持つため、就業の継続性が比較的高いです。

つまり、「自由に働きたい」と思ってSESを選んだはずが、案件がなければ収入がゼロになる可能性もあり、実は不安定だった…というケースは珍しくありません。

③就業条件(期間・給与・指示系統)が大きく異なる

SESと派遣では、見えない部分での就業条件の差も無視できません。

契約期間、給与体系、誰から指示を受けるかといった基本的な労働環境が、根本から違います。

派遣には法律で定められた「最長3年まで」という期間制限がありますが、SESにはそのような上限はなく、長期参画も可能です。この点だけ見ればSESの方が継続性はあるように見えますが、実際には案件ベースで動くため、クライアント都合で突然終了するリスクもあります。

また、給与の面でも、派遣は時給制で安定していますが、SESは契約単価や稼働時間によって変動します。つまり、「安定した固定給が欲しい人」には向いていません。

そして、指揮命令の系統も真逆です。SESは自社の上司のもとで働く形を守らなければなりませんが、現場の雰囲気によっては、クライアントが直接指示を出してくることもあります。この「建前と現実のズレ」に戸惑う人も多いのが実情です。

3. それぞれの働き方に向いている人とは?

SESと派遣の違いを見てきました。

が、SESと派遣、どちらの働き方が自分に合っているか?についてもみていきましょう。

実際には「どっちが優れている」という話ではなく、「どちらが自分に合っているか」が最も重要な判断基準になります。

この章では、SESと派遣の特性を踏まえて、どんなタイプの人に向いているかを具体的に説明します。

①SESが向いている人の特徴

SESは「自由さ」「裁量の広さ」「技術志向」を重視する人に向いています。

自分のスキルで勝負したい、キャリアを自分で作っていきたいという意欲のあるエンジニアにとっては、大きな成長の場になります。

特に、客先との調整や要件定義など、開発以外の業務も含めて経験したい人にはチャンスが多い環境です。プロジェクトによっては上流工程から関われることもあり、年齢や立場に関係なく能力次第で任される業務の幅が広がります。

ただしその反面、案件がなければ収入が不安定になるリスクがあるため、「最低限の安定性」より「挑戦」を重視する人向けと言えます。また、現場での人間関係や交渉ごとを自分で処理できる柔軟性も必要です。

②派遣が向いている人の特徴

派遣は「安定性」「明確な指示」「決まった業務範囲」を求める人に適しています。

毎月決まった時間に働き、決まった内容をこなすスタイルが合う方にとっては、精神的にも働きやすい環境です。

また、業務の裁量や責任が比較的少ない分、プライベートとのバランスを取りやすいのも魅力です。残業が少ない職場も多く、ライフスタイル重視の人にはフィットしやすいでしょう。

とはいえ、3年ルールや契約更新の制限など、キャリアを長期的に築くには制約がある点も無視できません。「将来的には正社員になりたい」といった目標がある場合は、派遣の延長だけでは物足りなくなることもあります。

③どちらにも当てはまらない場合の選択肢(例:正社員エンジニア)

もしSESも派遣も自分にしっくりこない。

そう感じるなら、正社員エンジニアという選択肢も検討すべきです。自社開発や受託開発の企業で正社員として働けば、収入の安定と成長機会のバランスが取れます。

特に、キャリアの方向性が定まっていない人や、長期的に一つの環境で腰を据えてスキルを磨きたい人には向いています。また、福利厚生や賞与、昇給制度など、長期的な待遇面でも安心感があります。

一方で、社内ルールや人間関係に縛られる場面も多く、自由度はSESや派遣に比べて低いこともあります。そのため、「組織の中で安定的に働きたい人」には最適ですが、「型にはまりたくない人」にはやや窮屈に感じられるかもしれません。

4. SESと派遣、それぞれのメリット・デメリット

SESと派遣にはそれぞれ魅力もあれば、見落としがちな落とし穴もあります。

選ぶ前に両者の良い面・悪い面をしっかり理解しておくことが、後悔しないキャリア選びにつながります。

この章では、「SESのメリットとリスク」「派遣のメリットと注意点」「キャリアパスの観点から見た違い」という3つの切り口で、解説します。

①SESのメリットとその裏にあるリスク

SESの一番の強みは、自由度と経験の幅の広さです。

自社開発や派遣では関わりにくい最新技術や大型プロジェクトに参画できるチャンスが多いです。

さらに、契約単価が高く設定されることも多く、自分のスキルに応じた報酬を得られるのも魅力です。営業力のある会社に所属すれば、単価交渉や希望案件へのアサインも比較的スムーズに行われます。

項目SESの内容
メリット①幅広い技術や業務に携われ、スキルアップしやすい
メリット②自由な働き方がしやすく、現場の選択肢も多い
メリット③単価次第で高収入も期待できる
リスク①案件ガチャや待機リスクがある(案件がなければ給与ゼロの可能性も)
リスク②クライアントからの実質的な指示で「偽装請負」のグレーゾーンに陥りやすい
リスク③キャリアの方向性が定まりにくいケースもある

しかしその反面、「案件ガチャ」や「待機リスク」が現実問題として存在します。

つまり、SESは“自由と引き換えにリスクも背負う”働き方だというのが正直なところです。

②派遣のメリットとその落とし穴

派遣の最大のメリットは、労働環境の安定性と明確なルールです。

勤務時間・業務内容・就業条件が事前に明確に決まっています。そのため、ワークライフバランスを重視する人にとっては理想的な働き方と言えるでしょう。

加えて、労働者派遣法に基づいて就業環境が整備されています。なので、有給休暇や育休、産休といった制度も活用しやすいのが特徴です。

  • 明確な就業条件で、安定して働きやすい
  • 働く時間・業務範囲が決まっていて、生活リズムを整えやすい
  • 法的保護があり、有休や福利厚生が適用されやすい
  • ただし業務範囲が限定的で、スキルが伸びにくい
  • 同じ部署での長期勤務には制限がある(3年ルール)
  • 昇進・昇給のチャンスはほぼなく、将来の選択肢は狭まりがち

ただし、注意すべきなのは「スキルが固定化されやすい」という点です。

契約終了後も、派遣会社が別案件を紹介してくれることが多く、継続して働ける可能性も高いです。

③キャリアパスの視点から見るメリット・デメリット

将来的なキャリア形成という視点で見ると、SESと派遣は大きく方向性が異なります。

SESは、さまざまな現場を経験しながら、自分の得意分野や専門性を磨くことが可能です。

一方で、安定志向の人にとっては、案件ごとの変化や不安定な収入がストレスになることも。なぜなら、毎回職場が変わるため、社内評価やポジションの積み上げが難しいから、です。

観点SES派遣
キャリア形成案件ごとに異なる経験が積め、専門性を高めやすい安定した働き方だが、経験の幅が狭まりやすく、専門性は育ちにくい
キャリアの柔軟性フリーランス・コンサル・PMなど多様なステップアップが可能派遣から正社員登用される可能性もあるが、チャンスは少なめ
長期的な安定性案件次第で不安定。継続して働くには自己管理能力が求められる継続雇用の仕組みがある程度あり、安定志向の人に向いている

なりたい自分を想像し、そこから逆算して働き方を選ぶことが、後悔しない判断につながります。

5. どちらを選ぶべきか?判断のためのチェックポイント

SESと派遣のどちらを選ぶか?

最も大切なのは「自分が何を重視するか」を明確にすることです。

この章では、3つの視点からチェックポイントを紹介します。

①働き方の優先順位を明確にする(自由度 vs 安定性)

最初に考えてほしいのは、

「あなたは自由に働きたいですか?それとも安定を重視しますか?」というシンプルな問いです。

SESは、案件により働き方の幅が広く、自分の意思やスキルでキャリアを切り拓いていけます。ただし、プロジェクトの終了や待機など、先行きが読めないことも。だからこそ、自分の力で道を切り開く覚悟がある人に向いています。

逆に派遣は、勤務時間や職務内容が決まっており、働き方が安定しています。急な案件変更なども少なく、同じペースで働ける環境を求める人にはぴったりです。

生活のリズムを崩さずに働きたい人にとっては、大きな安心材料です。

②将来のキャリア設計と一致しているか

次に、自分が5年後、10年後にどんなエンジニアになっていたいのかを考えてみてください。

将来的にフリーランスやPM、技術責任者などを目指しているなら、幅広い現場経験を積めるSESのほうが向いています。

一方で、「無理なく安定した仕事を続けながら生活基盤を整えたい」「子育てや介護と両立したい」といった将来像を描くなら、派遣の方が働きやすいでしょう。なぜなら、派遣の方が、制度やサポート体制も充実していから、です。

つまり、自分の“未来像”と働き方の方向性が一致しているかどうか?が、後悔しないための鍵になります。

③業務内容やスキルアップの観点から考える

最後に、日々の業務を通じて「どんなスキルを伸ばしたいのか」も大切な判断材料です。

SESでは、プロジェクトによっては設計、開発、運用、顧客対応まで幅広く経験できます。そのため、現場ごとに新しい技術や環境にチャレンジできる機会が多く、スキルの幅を広げたい人に適しています。

対して派遣は、職務範囲が明確に決まっています。その分、ひとつのスキルを深めやすい反面、新しい分野に挑戦するチャンスは限られます。既に身につけたスキルを活かし、ルーティンワークで安定して働きたい人には合っていますが、成長志向が強い人にはやや物足りなさを感じることもあるでしょう。

「毎日の仕事が、自分の成長につながっているか?」という視点を持つことが重要

SESと派遣の違いとは?まとめ

SESと派遣は、似て非なる働き方です。

自由度が高く成長機会が多いSES、安定性や制度が整った派遣。それぞれにメリット・デメリットがあり、「どちらが正解」というよりも、「どちらが自分に合っているか」が重要です。

この記事を通して、自分の働き方に対する優先順位や将来の方向性を明確にできたのなら幸いです。

現場でのミスマッチを防ぐためにも、制度的な違いと実際の働き方のギャップを理解し、自分に最適なキャリア選択をしてください。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>> エンジニアを主役に!安心して、納得して、成長できるSESの新しいかたち

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