SESとは?IT業界の仕組みを初心者向けに徹底解説

SESとは?IT業界の仕組みを初心者向けに徹底解説

SESとは?派遣や請負とどう違うの?将来性はあるの?

IT業界を目指している方や転職を検討中の方には、「SESってブラック?」「やめとけって本当?」と不安を感じている方が少なくありません。

実際、ネットには良くも悪くもさまざまな意見が飛び交っています。

そこで、今回の記事では、

この記事で分かること

  • SES(システムエンジニアリングサービス)の基本的な仕組みと契約形態
  • 派遣・請負・SIerとの違いを分かりやすく比較
  • 「やめとけ」と言われる理由と、SESの実は大きなメリット
  • 年収や働き方のリアルな実態と将来のキャリア形成
  • 未経験者・経験者それぞれに合ったSESの活用戦略

など、「SESという働き方」について、基礎から応用まで徹底解説します。

SESについてしっかり理解し、自分に合った働き方を見つけたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ワイラボ編集長
ワイラボテック編集長

執筆者

この記事は、システム開発やSES(システムエンジニアリングサービス)を展開する「ワイラボテック」担当者が執筆しています。
現場のエンジニアや企業と日々やり取りをしながら、技術者支援・ITソリューションに関わっており、その知見をもとに情報を整理しています。「分かりやすく伝える力」をモットーに、専門的なシステム分野も、現場目線で解説します。

目次

1. SESとは何か?契約形態の基本と他の働き方との違い

IT業界でよく耳にする「SES(システムエンジニアリングサービス)」という働き方。

名前は知っていても、その実態を正確に理解している人は少ないかもしれません。

そこで、この章では、SESの定義や特徴を明確にします。さらに、派遣や請負、SIerなどの他の働き方との違いについても、わかりやすく解説します。

①SES(システムエンジニアリングサービス)の定義と仕組み

SES=エンジニアが特定のプロジェクトや企業に常駐して業務を行う契約形態

です。つまり、あなたは、SES企業との間に、雇用関係があります。なので、実際に働く現場は、SES企業そのものではなく、別の企業になります。

このモデルの最大の特徴は、「労働力の提供が目的」です。

エンジニアは、客先から業務の指示を受けて働きます。報酬は、時間単位で計算されます。つまり、成果物ではなく「作業時間」に対して料金が発生する仕組みです。

一見すると派遣と似ています。が、法律的な扱いや指揮命令の所在が異なります。SESでは、法律上は「準委任契約」に該当し、実際の指揮命令は現場企業が行います。ただし、法的にはSES企業が労務管理を担います。

②SESと派遣・請負契約の違い

SES、派遣、請負は、いずれも「外部の企業が人材を提供する」点では似ています。

が、契約の本質が大きく異なります。混同されがちなので、違いを明確に整理します。

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契約形態指揮命令者成果責任主な契約内容法的位置付け
SES(準委任)客先企業なし作業時間の提供準委任契約
派遣派遣先企業なし労働力の提供労働者派遣契約
請負請負企業あり成果物の納品請負契約

SESと派遣はどちらも「働く場所」が顧客企業です。

が、派遣は労働者派遣法に基づき、派遣先が労働環境を整える義務があります。一方、SESは「業務委託」という扱いです。そのため、労働法の対象外となるケースが多く、トラブルが起きた際に保護が不十分になるリスクもあります。

さらに、請負は、エンジニアが納品物に責任を持ちます。

③SESとSIer(システムインテグレーター)の違い

さらに、SESと混同されやすいのが、SIer(エスアイヤー)です。システムインテグレーターと呼ばれる、IT業界の中間事業者ですが、役割と事業モデルが異なります。

SIerは、顧客の業務課題をヒアリングし、要件定義から設計、開発、運用までを一括して請け負う企業です。一方、SESはその開発や運用の「人手」を提供する立場です。

両者の関係を表にしてみましょう。

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項目SESSIer
目的エンジニアの派遣・業務支援システム全体の企画・構築
収益モデル技術者の作業時間に対する報酬プロジェクト単位の請負報酬
主な業務内容実装・テスト・運用支援など要件定義・設計・プロジェクト管理など
立場支援者受託者

つまり、SESは「作業の担い手」。SIerは「全体設計の責任者」といった関係になります。

2. SESが「やめとけ」と言われる理由とメリットの両面

SESは、ネット上には「やめとけ」という否定的な声がある働き方です。

結論を一言でお伝えします。『SESは必要』です。ただし、良い点と悪い点があるので、それをしっかりと理解しておかないと、おかしな疑念を生みます。

そこで、この章では、SESの課題。さらにSESで働くメリットを解説します。

①【デメリット】多重下請け構造による中間マージン問題

SES業界で問題視される代表的な課題があります。

それが「多重下請け構造」です。

どういうことか?というと、現場で働くエンジニアと、クライアント企業の間に2社、3社と仲介会社が入る状態です。そのため、報酬の一部が、中間マージンとして差し引かれてしまうのです。

たとえば、クライアントとチョ節契約していれば、時給7,000円だった場合。SESで、仲介業者が多いと、エンジニアの手取りは半分になってしまうからも、、、ということです。

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段階役割取り分(例)
クライアント案件発注元7,000円支払い
元請SIer受注・管理1,000円マージン
二次請SES仲介1,500円マージン
三次請SES仲介1,000円マージン
エンジニア所属企業雇用・営業2,000円取り分
エンジニア本人作業担当実質1,500円手取り

このように、作業をしている本人の報酬が少なくなりがちです。そのため、「搾取されている」と感じる人がいます。

ただし、これは派遣で就労した場合でも同じです。どうしても中抜きされたくない!と思ったら、自分で探せば良いけど、なかなか良いところが決まらない。ということもあります。

なので、就職エージェントの紹介手数料は、職を決めるために必要な経費でもあります。

②【デメリット】スキルアップが難しい構造的課題

SESでは、業務内容が限定的で、スキルアップに直結しにくい面があります。

なぜなら、客先常駐の業務は、プロジェクトの一部分だけを任されることが多いから、です。そのため、システム全体の設計や要件定義などに関わる機会が少ないです。

また、自由に、業務内容を選ぶことも少ないです。そのため、SES企業側の営業方針や人員調整により、希望とは異なる現場に配属されることもあります。その結果、「思っていたキャリアパスが描けない」「スキルが偏ってしまう」という声も聞かれます。

特に、開発よりも保守運用などの「手を動かさない」業務に偏ると、技術力が伸びにくくなります。もし、将来的な転職やキャリアアップを目指すなら、自主的な学習や現場選びも重要です。

③【デメリット】評価制度の不透明さと給与の上がりにくさ

SESの報酬は、成果物ではなく「時間」です。

そのため、実際のスキルや貢献度が評価されにくいです。その結果、客先から高評価を得ても、給与が上がらないというケースも少なくありません。

つまり、SESでは「案件ガチャ」とも呼ばれ、現場によって待遇や業務内容が大きく違います。

結果、もし、長く勤めたとしても、一貫したキャリア形成が難しくなると言えるでしょう。

④【メリット】未経験からIT業界に入りやすい

その一方で、SESは未経験者にとっては、大きなメリットがあります。

なぜなら、未経験でも応募できる求人が多く、入社後に現場経験を積むことができるから、です。

他の契約形態、特に受託開発や自社開発の企業では、実務経験がないと、ほぼ採用されません。ところが、SES企業では、教育体制や研修制度を整えて、基礎的なITスキルを身につける環境が整っている会社があります。

現場でのOJTによって、現実的な業務に触れながら成長できる点は、大きなメリットです。

最初の一歩としてSESを活用し、経験を積んだ後にキャリアチェンジを目指す人も多い。

⑤【メリット】多様なプロジェクト経験で幅広いスキルが身につく

SESでは、多くの現場を経験できます。

そのため、自然と幅広いスキルが身につきます。開発、インフラ、テスト、運用保守など、さまざまな工程を経験することで、自分の適性や得意分野を見極めやすくなります。

また、異なる業界や企業文化に触れることで、技術力だけでなく、コミュニケーション能力や適応力も養われます。これは、将来的にPM(プロジェクトマネージャー)やコンサルタントを目指す上でも重要なスキルです。

同じ環境に長くいるより、短期間で多くの経験を積みたい!という人には、SESは非常に向いている働き方です。

⑥【メリット】収入が安定し残業が少ない働き方

SESでは、月額単価が契約で固定されています。

また、業務量が変動しても安定した収入を得やすい特徴があります。さらに、残業も少なめの案件が多く、プライベートを重視する人には魅力的です。

くわえて、基本的に残業代は別途支給される契約が多いです。そのため、サービス残業が発生しにくい環境です。働いた時間がそのまま報酬に直結するので、「働き損」になるリスクは、低いです。

実際、繁忙期でも残業時間が一定に抑えられていて、ワークライフバランスを重視する人には、働きやすい選択肢です。

⑦SES業界の将来性とAI・DX時代の需要

IT業界は、今後ますます人材不足が深刻化します。

なぜなら、人口減少に加えて、需要が拡大している業界だから、です。特に、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)領域での需要が急増して、SESもこの波に乗る形で再評価されています。

たとえば、クラウド運用、セキュリティ対応、データ分析支援など、SESエンジニアが関われる業務領域は広がっています。企業も即戦力の人材を求めており、経験を積んだSESエンジニアの需要は高まり続けています。

将来的にフリーランスや上流工程へのステップアップを目指す場合も、SESでの経験は、武器になります。

3. SESエンジニアの年収と実際の働き方

SESで働くエンジニアの年収は、経験やスキルで大きく異なります。

また、働き方も、案件によってはリモートが可能です。さらに、待機期間が発生したりと、一般的な会社員とは異なる側面があります。

この章では、SESエンジニアの年収相場や現場の実態について、リアルな情報を解説します。

①経験年数別の年収相場と単価アップの方法

SESエンジニアの年収は、経験年数とスキルで上がっていきます。

ただし、昇給のスピードや金額は企業や案件によって異なるため、一概には言えません。

以下は、一般的な年収相場の一例です。

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経験年数年収目安備考
未経験〜1年目250〜350万円研修期間や保守・テスト業務が中心
2〜3年目300〜400万円開発補助や小規模な実装を担当
4〜5年目400〜500万円一人称での開発が可能になる段階
6年目以降450〜650万円上流工程やリーダー経験者、高単価案件参画

SESで収入を上げるためには、「案件単価」を意識することが重要です。

案件単価とは、エンジニアが1ヶ月働くことで、SES企業が受け取る金額です。単価が上がれば、企業にとって、手数料も増えます。

ただし、単価が高い案件は、求められるスキルも高いです。

②残業時間・リモートワーク・待機期間の実態

SESエンジニアの働き方は、配属先の企業やプロジェクトによって変わります。

特に、残業やリモートワーク、待機期間といった要素は、事前に把握しておくべきポイントです。

  • 残業について
    SESの案件は、契約時に「月20時間まで」などと残業時間が決まっていることが多く、過度な残業は発生しにくい傾向があります。ただし、納期前やトラブル対応などで突発的な残業が発生することもあります。
  • リモートワークの可否
    コロナ禍以降、リモートワーク可能なSES案件も増えましたが、すべてではありません。特にセキュリティに厳しい現場では、出社が求められる場合もあります。面談時に確認しておくことが重要です。
  • 待機期間の扱い
    案件が終了したあと、次の案件が決まるまでの「待機期間」が発生することもあります。この期間中の給与が支給されるかどうかは企業によります。一部では、待機中の研修や内勤業務が割り当てられるケースもあります。

このように、SESの働き方には一定の柔軟性があります。

③案件選択制度で主体的にキャリアを形成する

SESでは、「案件選択制度」を取り入れている企業もあります。

これは、エンジニアが自身の希望やスキルに合わせて、次の案件を自ら選べる仕組みです。

この制度を活用すれば、自分のキャリアに合った現場で働いて、計画的なスキルアップが可能になります。たとえば、インフラから開発に転向したい場合や、将来は上流工程に関わりたいと考えている場合でも、自分の方向性に合った案件を選べば、理想のキャリアに近づけます。

ただし、案件選択が自由とされていても、実際には営業やタイミングによって希望が通らないこともあります。そのため、企業側がどこまでエンジニアの意向を尊重しているかを面接時にしっかり確認することが重要です。

主体的に案件を選べる環境に身を置くことができれば、SESでも自分主導のキャリアを築くことは十分に可能です。

4. SESエンジニアに向いている人と主な職種

SESは、働き方や案件内容が多様です。

そのため、人によって向き不向きがはっきり分かれる傾向があります。

ここでは、SESに向いている人と主な職種について、見ていきましょう。

①環境の変化に適応できる人

SESでは、プロジェクトが終わと配属先が変わることが多いです。

つまり、業務内容や人間関係もそのたびにリセットされます。そのため、「変化を楽しめる人」「新しい環境に順応できる人」には非常に向いています。

逆に、同じ職場でじっくり腰を据えて働きたいタイプには、ストレスを感じやすい環境です。

ただし、複数の企業で働くことで得られる知見や人脈は、将来的なキャリアにおいて大きな財産です。

②継続的な学習意欲がある人

SESでは、配属先の要望で、異なる技術やツールに対応する必要があります。

そのため、常に学び続ける姿勢が求められます。言い換えれば、「学習が苦にならない人」「新しい技術にワクワクできる人」には理想的な環境です。

たとえば、技術のトレンドは日々変化しています。Pythonやクラウド、セキュリティなど、需要の高い分野に関しては、案件の幅も広がります。日々の業務と並行して自己学習を継続できれば、より好条件の案件にも挑戦しやすくなります。

つまり、成長意欲がある人ほど、SESでのキャリアは広がります。

③主体的にキャリアを設計できる人

SESでは、配属先の選定や、スキルアップ計画は、基本的に自分で考えられます。

したがって、「自分の将来像を描きながら動ける人」こそ、SESで成功しやすいです。

例えば、「数年後にインフラから開発にシフトしたい」「将来はフリーランスを目指したい」といった目標がある人は、必要なスキルを逆算して、案件を選んでいくことができます。このようなキャリア戦略が描ける人は、SESの自由度を武器に変えられます。

「言われたことだけやる」。「勉強は会社の仕事」。という受身の姿勢では、スキルも単価も伸び悩みます。

④SESで働く主な職種一覧(SE・PG・インフラ・Web)

エンジニアと一口に言っても、さまざまな職種があります。

それぞれの職種によって、求められるスキルやキャリアパスも異なります。

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職種主な業務内容特徴
SE(システムエンジニア)要件定義、設計、開発管理など上流工程の経験が可能
PG(プログラマー)実装、テスト、バグ修正未経験でも始めやすい
インフラエンジニアサーバー・ネットワーク構築、運用保守安定志向に向く
Webエンジニアフロントエンド・バックエンド開発UI/UXやデザイン志向にも対応

自分の興味や適性に合わせて職種を選ぶことで、より充実したキャリアを築くことができます。

5. 優良SES企業を見極める7つのチェックポイント

SESという働き方は、企業選びを間違えると大変です。

たとえば、「低収入・スキルが身につかない・将来が不安」という悪循環に陥る危険性もあります。

そこで、この章では、優良SES企業を見極めるためにチェックすべき7つのポイントを解説します。

①単価・還元率・給与計算の透明性

SESで、気をつけたいのが、単価と還元率の仕組みです。

単価とは、クライアントが企業に支払う月額報酬。還元率はそのうち何%が自分の給与に反映されるかを示します。

優良企業は、この単価と還元率を明示しています。たとえば「月単価70万円、還元率70%なら、給与49万円」と具体的に提示してくれます。一方、不透明な企業は、いくら単価が上がっても給与に反映されません。

また、給与計算の基準が「月末締め翌月払い」なのか、「日割計算あり」かなども確認が必要です。

②案件選択権とキャリア支援体制

SESの働き方は、配属される案件によって大きく左右されます。

そこで重要なのが、自分で希望を出せるのか?企業側が一方的に決めるのか?です。なぜなら、この違いはキャリア形成に大きく影響するから、です。

さらに、キャリア支援の体制があるかもチェックしましょう。

スキルシートの添削、現場での実績管理、キャリア相談などを継続的に行っている企業は、エンジニアの成長を真剣に考えています。

逆に、ただ案件に送り込むだけの企業は「単なる人材派遣」と変わりません。

あなたの将来を一緒に考えてくれる企業かどうか?を見極めましょう。

③教育制度と資格取得支援

未経験者や若手エンジニアにとって、教育体制の有無は重要です。

技術研修、ビジネスマナー、外部セミナーの参加支援などが整っている企業は、育成に力を入れている証拠です。

また、資格取得支援の内容にも注目しましょう。受験費用の補助だけでなく、教材の提供や、合格時の報奨金がある企業も存在します。

教育や資格支援に投資している企業は、社員の成長を会社の成長と捉えている傾向があります。スキルアップしやすい環境に身を置けば、将来的なキャリアの幅も広がります。

④離職率と平均勤続年数

SES業界は離職率が高いと言われがちです。が、優良企業は例外です。

離職率が低く、平均勤続年数が長い企業は、社員が安心して働ける環境を整えている可能性が高いです。

「3年で社員の半数が辞める」ような企業は、何かしらの問題を抱えていることが多いです。逆に、「5年以上の勤続者が多い」企業は、働きやすさや待遇面で信頼できる可能性が高いです。

こうした情報は、採用ページや面談時に確認することができます。また、口コミサイトなども参考にしつつ、離職理由などもできるだけ具体的に聞いてみましょう。

⑤常駐先でのフォロー体制

SESでは、客先で1人きりになるケースもあります。

そのときに、企業がどれだけフォローしてくれるか?は、重要です。そこで、月1回の面談、チャットでの定期連絡、悩み相談、があるかを確認しましょう。

優良企業は、エンジニアを「放置しない」しません。逆に、「配属したら連絡が途絶える」という会社は、精神的にもサポートがなく、孤立しやすいです。

また、現場でトラブルが起きた場合に、どれだけスピーディーに動いてくれるかもチェックポイント。

相談体制が整っているかは、面談時に具体例を聞いてみると見えてきます。

⑥自社開発プロジェクトの有無

SES企業の中には、自社開発事業を並行して展開しているところもあります。

こうした企業は、単なる人材派遣だけでなく、自社で価値を生み出す力を持っています。そのため、経営の安定性や技術力の高さに期待できます。

また、自社開発に関われば、上流工程やPM(プロジェクトマネージャー)の経験を積むチャンスが広がります。

もし、将来的に「SES以外の働き方をしたい」と考えているなら、自社開発に挑戦できるかどうか?は大きな判断材料です。

⑦口コミと面接での確認事項

最終的に重要なのは、企業の「実際の姿」を知ることです。

公式サイトや求人票だけではわからない情報を、口コミや面接で拾い上げましょう。

たとえば、以下のような点を確認するのが有効です。

  • 面接で単価や還元率を開示してくれるか?
  • 社員のスキルアップ支援はどの程度か?
  • 直近の離職者数や理由は?

このような質問に真摯に答えてくれる企業は、情報を隠さない誠実な姿勢がある証拠です。

一方、曖昧な返答や話をそらすような対応をする企業は、注意が必要です。

6. SESで成功するキャリア戦略|時期別ロードマップ

SESという働き方は、うまく活用すれば理想のキャリアを築けます。

ただし、それには「計画性」が必要です。場当たり的に案件をこなすだけでは、スキルも収入も頭打ちになります。

この章では、SESでキャリアを成功させるための具体的なロードマップを、時期別に解説します。

①入社1〜3年目:基礎スキル習得期

入社からの3年間は「とにかく手を動かす」時期です。

ここで重要なのは、「幅広く基本を身につけること」と「現場で通用する振る舞いを覚えること」です。

最初は、保守やテスト業務からスタートすることが多いです。が、焦る必要はまったくありません。現場経験を積むことで、IT業界の常識や仕事の流れが身についていきます。

この期間に意識すべきポイントは以下のとおりです。

  • 1人称で業務を遂行できる力を身につける
  • 技術書・Udemy・資格学習などで自主学習を継続する
  • ITパスポートや基本情報技術者などの資格取得

また、「この先どの分野に進みたいか(開発・インフラ・上流)」を考え始めるのもこの時期です。

業務の中で興味が持てる分野を見つけ、スキルを深掘りする土台を作りましょう。

②入社4〜5年目:専門性の深化期

この時期は、単に「現場にいるだけ」では成長が止まってしまいます。

むしろここからが本番です。専門性を定めて、スキルを一段階上げる時期に入ります。

たとえば、Web開発ならフレームワークを活用した設計や保守ができるレベルを目指し、インフラならクラウドやセキュリティの知識を磨くとよいでしょう。

この期間の主な目標は次のとおりです。

  • 専門領域を決めてポートフォリオを作る
  • 上流工程(要件定義・基本設計)の経験を得る
  • 単価交渉や案件選定に主体的に関わる

また、業務外でもアウトプットを増やしましょう。

技術ブログやGitHubを通じてスキルを見える化すると、転職時にも有利になります。

いずれはPMやフリーランスを目指す場合、このタイミングでの実績づくりが非常に重要です。

③入社6年目以降:次のステージへの選択(転職・独立・昇進)

SESで6年目を迎えると、キャリアの分岐点に立つことになります。

ここからは、「SESにとどまるか」「より上流を目指すか」「フリーランスや自社開発に移るか」といった選択が求められます。

各選択肢には、以下のような特徴があります。

キャリアパス特徴向いている人
SES内で昇進リーダー・マネジメントポジション組織内で長期的に働きたい人
上流工程へ転職要件定義・コンサル業務へ顧客折衝や課題解決が得意な人
フリーランス転向単価アップ・自由度の高い働き方実務力と自己管理力がある人
自社開発企業へ自社サービスに関われるチームでの開発が好きな人

どの道を選ぶにせよ、ここまでの経験をどう活かすかがカギになります。もしSESを続ける場合でも、案件や役職の選び方次第で、年収ややりがいは大きく変わります。

このタイミングで自分のキャリアを棚卸しし、方向性を定めることで、次の10年がより実りあるものになります。

7. SESを最大限活用してキャリアを築く

SESは、「やめとけ」と言われることも多い働き方です。

が、正しく理解し、自分に合った企業を選べば、確かな成長と安定を得られる道でもあります。未経験からIT業界に入る足がかりとして、また幅広い現場経験を積む手段として、SESは非常に有効です。

この章では、SESを前向きに活用してキャリアを築くためのポイントを改めて整理します。

①SESのメリットを最大化する心構え

SESで成功するためには、「自ら学び、自ら選ぶ」という意識が必要です。

案件を待つのではなく、自分のスキルや目標に合った案件に挑戦する姿勢が、成長のスピードを大きく変えます。

また、「SESは通過点」と割り切ることも有効です。最初の数年間で土台を作り、将来の転職や独立に向けた準備をする場と考えれば、不満ばかりに目を向けず、自分の成長に集中できます。

企業に依存せず、自分自身でキャリアを切り開く気持ちがあれば、SESという働き方は大きな武器になります。

②避けるべきSES企業の特徴チェックリスト

以下に、注意すべき企業の特徴をまとめました。

就職・転職前のチェックポイントとして活用してください。

注意ポイント内容
単価や還元率を開示しない報酬が不透明で交渉も難しい可能性
案件選択の自由がないキャリア形成が企業任せになる
教育制度がないスキルアップしづらく、成長が止まる
待機中に給与が出ない安定性に欠ける可能性あり
フォロー体制が弱い孤立しやすくメンタル面で不安定に

これらに該当する企業は、長く働くほどリスクが高まります。

面談や口コミなどを活用し、冷静に判断しましょう。

③未経験者・経験者それぞれのSES活用戦略

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分類SES活用の目的特徴・ポイント目指す方向性
未経験者現場経験を積む小さな業務からスタートし、実務を通じて学ぶIT業界への足がかり、基礎スキルの習得
経験者理想の働き方へ案件選択の自由度を活かし、裁量・還元率を重視スキルの拡張、収入向上、キャリア形成

未経験者=SESは「現場で学べる貴重なチャンス」。理論よりも実務に触れたい人にとっては最適なスタート地点です。

経験者=「案件選択の自由度」「収入の安定性」「スキルの幅」が魅力。裁量や還元率が高い環境を選んで、自分の理想に合った働き方を実現するフェーズに入ります。

どちらにとっても、企業、案件、スキル、働き方…。すべてを自分の意思で選んでこそ、SESは『活かせる働き方』になります。

8. SESとは?まとめ

SESという働き方には、課題と可能性があります。

重要なのは、メリットとデメリットの両方を正しく知ること。そして、自分に合った企業・働き方を見極めること、です。

とくに、未経験からIT業界に入る第一歩としても、SESは有効活用できます。この記事を通じて、自分のキャリアをどう築いていくかのヒントが得られていれば幸いです。

今後のキャリアに悩んでいる方は、まずは「どんなSES企業が自分に合うか」から考えてみてください。

>> SES優良企業10選|高年収・働きやすさで選ぶおすすめ企業は?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>> エンジニアを主役に!安心して、納得して、成長できるSESの新しいかたち

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